2011年9月5日月曜日

ぶどう園ボランティア日記26

2011/6/13(月)  26回 曇りのち晴れ

家を出るときは昨夜の大雨の名残の雨だったが、中央線で西に動くにつれ、あがって行き、笹子トンネルを出ると曇りに。山は水蒸気が立ち上って徐々に霧が晴れていく。

午前中は裏(北側)の畑のロザリオ・ビアンコの房づくり、午後はデラウエアの傘かけ。
定点観測写真:
       

ロザリオ・ビアンコRosario Biancoは、ロザキ×マスカット・オブ・アレキサンドリアの交配品種です。Rosaki x Muscat of Alexandria

それではロザキRosaki (Regina, Datteir di Beyrouth)はどういう品種かというと、植原宣紘氏によると次の通りです。

「アラビア原産の世界的に有名な大粒高級白色種。イタリアを中心に、世界の主要ブドウ産地で栽培され広く普及している。ロザキは元々『白いブドウ』を意味し、各国に数多くの異名がある。」(『ブドウ品種解説』甲府、植原葡萄研究所、1994810日発行、p. 48

ロザキとかレジーナと呼ばれる品種とマスカット・オブ・アレキサンドリアの交配品種であるロザリオ・ビアンコの品種特性はどういうものかについて上掲書を要約してみます。

ロザリオ・ビアンコは1976年植原葡萄研究所で交配・育成された品種で、1987年品種登録されました。10g以上の大きさになる楕円形の粒がついて、円錐形の大きな房になります。緑黄色から白黄色で、果皮は薄いけれど強くて裂果はほとんどありません。果皮と果肉を分離するのが難しい。味は上品なまろやかさがあり、品質は極上です。9月上旬から中旬にかけて熟します。樹勢は旺盛ですが、萌芽が遅くむらがあるのが欠点で、徒長枝ほどこの傾向が強く、落ち着いて枝梢が小指以下の手ごろな太さになれば萌芽は揃います。満開から2週間後にジベレリン処理して、顆粒の肥大と果梗の硬化を図ることができます。」(『ブドウ品種解説』甲府、植原葡萄研究所、1994810日発行、p. 48-49

実際に房づくりをしていても、巨峰系品種に比し、新梢が柔らかく繊細で、簡単に折れたり切れたりするので、やさしく取り扱わないといけないということがわかります。

U氏の話によると、育てるのに手間のかかる品種であるという。ジベレリン処理をしないので、基本的に有核なのだけれど、受粉しなかった粒が無核になり、無核の粒を一粒一粒手作業で除去するのでその分手間がかかるとのこと。植原さんはそうとは書いていないが、耐病性に難があり化学薬品等の散布の種類が多くその点でも手間がかかるとのこと。

ぶどう用の冷蔵庫を初めてみせてもらった。

この冷蔵庫は、ぶどう果が9kg収まるケースが1500個も収納できる大きさで、本室は0℃~3℃、予冷室は5℃~10℃。収穫してから少し冷まし、予冷室に入れて温度を下げてから本室へ入れる。そうしないと隅々まで冷やすために冷蔵庫が何日も24時間動きっぱなしになる。動きっぱなしになると冷却管に霜が付いて機能が低下するため、予冷室がある。
冷蔵庫から出す時もまず予冷室に移し、次いで夜の涼しい時に予冷室から出して、徐々に常温に戻す。そうしないと水滴が付いてしまうから。以前はデラウエアで一杯になったものだが、最近は一杯になることはないという。

冷蔵庫の使い方からも栽培品種に変遷があることが知られる。

ぶどう園ボランティア日記27

2011/6/20(月)  27回  曇り時々晴れ後雨

昼寝から起きてみると雨が降っていた。コウモリ蛾防除液塗布作業は雨が降ると効果が薄れるので、続きは次回まわしということになった。14時前に早上がりする。

定点観測写真:751分撮影



今日の作業は3種。第1圃場と第2圃場の新梢誘引、芽かき、コウモリ蛾の防除液「ガットサイド」塗布。

2圃場の苗は新梢誘引するほど伸びておらず、誘引の必要がない苗については防除液「ガットサイド」塗布だけを行った。


土壌により苗の生育に良し悪しがあることは、第1と第2圃場の苗を見ると歴然としている。ほぼ同じ時期に植えたにもかかわらず、第1圃場の苗は新梢誘引が必要なほど伸びているのに対し、第2圃場の苗は芽吹いた直後のような状態で、誘引するほどに伸びた芽は未だにない。

しかし、生育の良し悪しよりも気になったのは、新芽と葉が鹿に食べられてしまい(?)無残な状態の苗がいくつも見られたことである。

                           
新しい鹿のふんがあったので、多分犯人は鹿だと思うが、どこから入ってきたのか周囲を見回ったところ、車の出入り口に張ってあるネットに、ペットボトルに水を入れて重りにしあったが、そのペットボトルがなくなって青い紐だけになっていたり、ペットボトルが壊されて中の水が流れ出て重りの役目を果たしていなかったりした。


これでは、鹿が気ままに出入りできてしまうだろう。新芽を食べたい一心で、鹿はペットボトルを壊し、紐を引きちぎってペットボトルを外し、そしてネットをくぐって圃場に入って食べたということだろうか。動物の智恵も恐ろしいものだ。

対策として、ネットだけでなく金網を設置するのがいいだろうということになり、午後小雨の中、鹿(と車)が出入りできないように、出入り口にもともと開閉用に置いてあった4枚の金網を閉じることにした。

さて、ガットサイドという殺虫剤についてネットを調べてみたらS化学のページにあった。

「有機リン系殺虫剤。MEP乳剤。乳白色泥状粘稠液体。毒性は普通物。有効年限は3年。有効成分は、
MEP(PPTR・1種 第251)   ……      1.0 % 
鉱物質微粉、酢酸ビニル樹脂、界面活性剤、水等……99.0 %
樹体に塗布または散布することにより、穿孔性害虫の食入や産卵を防止し、また成虫の脱出を阻止する効果があります。みかん・なつみかん(カミキリムシ類・ミカンナガタマムシ)、 … ぶどう(コウモリガ)、… の害虫防除剤。アルカリ性薬剤とは混用しない。
雨天や降雨の前後の使用は効果が劣るのでさける。
薬液が葉にかかると薬害が生ずるおそれがあるので、かからないように樹幹部のみに散布する。
収獲終了後から萌芽までは2回、萌芽後は2回。
くりおよびぶどうのコウモリガに対しては幼虫喰入期直前~喰入初期に地際部から1.52mまでの主幹及び主枝に原液~1.5倍液をていねいに塗布するか所定の希釈液を十分ぬれるよう散布する。
コウモリガの被害は特に地際部に多いので地際部に薬液が十分付着するように処理する。
なお、ぶどうの場合、新梢への処理は薬害を生ずるおそれがあるので新梢部の被害防止を目的としては使用しない。」( http://www.i-nouryoku.com/ より)

                                       

2011年9月1日木曜日

ぶどう園ボランティア日記22

2011/5/31(火)  22回 快晴

定点観測写真:どんどん緑が濃くなる。今朝は春霞なし。


                       
        
一日中、藤稔と巨峰に挟まれたキングデラ畑で摘房作業。新梢の根元から、原則として2番目の房(第2花房)を残し、1番目(第1花房)と3番目(第3花房)より先の房を切り落とすという作業である。

品種のキングデラという名称は、デラウェアそっくりの外見なのだけれどデラウェアよりちょっと大きめというところに命名の根拠があるのではないだろうか。だけど品種的にはデラウェアと無関係で、昭和51年に大阪で作出された、レッドパールRed Pearl とマスカット・オブ・アレキサンドリア Muscat of Alexandriaを交配した欧米雑種である。

植原宣紘氏によると、キングデラは、

「果色はデラウェアに似た赤褐色~紫赤色で、果粉は中、果皮はデラウェアより厚く店持ちがいい。果皮と果肉の分離は容易、肉質は塊状で軟らかく、多汁。糖度高く平均20度、最高23度。酸味は中、香りはほとんどない。脱粒性はあまりなく中、熟期は早熟でジベデラの10日後には成熟する。豊産である。 もともと種子がほとんどないのでデラウェアより処理が簡単で  デラウエア栽培の転換品種として推奨され」ているとのこと

(『ブドウ品種解説』植原葡萄研究所、1994年、p. 38)


ではデラウェアの素性はというと、

「アメリカ原産の自然交雑種で1855年頃オハイオ州デラウエアで命名発表され、日本には明治5年に導入されたということである」(前掲書、p.34)

一見似ているけれど別物ということのようである。


キングデラの畑からの帰り道、12時頃、空に、通常の虹とは逆の円弧形の、不気味な虹のような現象がみられた。

                    
       「環天頂アーク」天輪虹とか彩雲、日暈と呼ばれる現象らしい。天変地異との関連性に怯える記事がウェブ上にいくつも載っている。


朝日新聞の記事によると、

「梅雨の晴れ間がのぞいた31日、関東から東海地方にかけて、太陽の周りに光の輪が見える日暈(ひがさ)と呼ばれる気象現象がみられた。この現象は、上空8千~1万㍍付近で氷の細かな粒でできた薄い雲を太陽の光が通過すると、氷の粒がプリズムのような働きをして起こる。 この日、気象庁には、『地震の前触れか』『放射線の影響ではないか』などの問い合わせが約60件相次いだ。松本積(つもる)予報官は『上空の風の乱れが少ない春や秋に起こりやすい。地震や放射線とは関係ない』とはなしている。」

(2011.6.1朝日新聞朝刊)


明日もぶどう園での作業に参加するので、今日は泊りがけで来た。宿泊は、勝沼ぶどう郷ユースホステルのご近所の洋風民宿「ひとつぶの葡萄」。写真のような瀟洒な建物。
 
            

ぶどう園ボランティア日記21

2011/5/25(水)  21 快晴
 定点観測写真:

午前中は、デラウエアのジベレリン処理作業。種なしブドウを作るためのこの作業は2回行われるが、その一回目。一気に終わらせる必要があるので、Uさんの叔父さん夫婦が応援に駆け付けておられた。

ジベレリン gibberellins は、1926年に台湾総督府農事試験場黒沢英一技師(1894-1953)によって稲の馬鹿苗病菌から発見された植物ホルモンの一で、1935年東大教授薮田貞次郎(1888-1977)等によってはじめて分離され、馬鹿苗病菌の学名ジベレラ giberella fujikuturoi に因んでジベレリンと命名された。成長を強く促進する作用をもち、発芽・生育の促進のほか、種なしブドウを作るのにも利用されると、文献にはある。

ジベレリン処理の実際は次のように行われる。

ジベレリンを溶いた液を食紅で色付けし、作業済みと未了の房をその色で区別する。ジベレリン液を200㏄大のプラスチックのコップ(液が少なくなってきたら口をすぼめて幼房の根元まで液に浸すことができて便利なので、柔らかいプラスチック製)に入れ、棚栽培のデラウエアの幼房一つ一つを浸漬する。
幼房は、新梢の根元から2房のみを残し、それから先の房は摘房されていて、その2房をコップに浸す。大いなる手間である。処理のタイミングは品種によって微妙に異なるそうで、デラウェアの第2回ジベレリン処理は、開花後時を移さず、今度は棚下から機械散布するという。前処理、後処理とも。後処理も手作業で行われることもある。
                     

521日(土)に刈払い機で草刈りがされた結果、第1圃場はきれいさっぱりした。デッキ前の、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、メルロ、シラー、山ソーヴィニヨン等が植わった2列もこの通り:

                

2011年8月14日日曜日

ぶどう園ボランティア日記25

2011/6/10(金)  25回 曇り時々晴れ

定点観測写真:今日も曇り空。甲府盆地の西側の山並みが見えない。



        
午前中はピオーネの房づくり作業。1130分頃に完了し、引き続き裏の畑の巨峰の房づくり作業。残す小梗の長さは、ピオーネが3.5cm4cm弱、巨峰が4cm4.5cmである。

巨峰の房づくり前:


同房づくり後:
       
                          

2011年8月13日土曜日

ぶどう園ボランティア日記24

2011/6/7(火)  24回 曇り時々晴れ

定点観測写真:
       
今日は生食用ぶどうを相手に仕事した。午前中はピオーネの房づくり作業。
ピオーネの場合は、原則として第1花房を生かし、その主穂(肩房が下向きの形の良い房の場合はそちら)の先端から4cmを残してそれ以外の小梗をそぎ落とし、肩房を(肩房を残す場合は主穂を)切り落とす。

ピオーネ畑が完了後はキングデラの上隣の巨峰畑で房づくり作業。

時々晴れ間がのぞき棚の間から太陽が顔を出す。

巨峰の房づくりは、主穂の先端から5cmを残してその上の小梗をそぎ落とす。原則を外れ、肩房を残すときの観点はピオーネと同じ。また、原則として第1花房を残し、第2花房以降を切り落とすのもピオーネと同じ。

 
写真は、巨峰の例で、房づくり前と房づくり後の新梢を示す。

房づくり前:
       
 
房づくり後:
           
5cmの房が収穫時には20cm位の大きな房になるので、長さは4倍、体積は64倍になる。つまり残すべき5cmの房の小梗の小さな一粒一粒を大事に優しく扱い、鋏は注意深く入れなければならない。今の作業が、収穫時の房の外観に決定的な影響を及ぼす。その時の形を想定しながら、繊細かつ大胆迅速に作業を行う。醸造用には不要だけれど、生食用には欠くことのできない作業である。

        
         

2011年8月10日水曜日

ぶどう園ボランティア日記23

2011/6/1(水)  23回 曇りのち雨


6時40分頃宿を出て7時前にUぶどう園着。7時から昨日の続きでキングデラの摘房を行い、11時過ぎから摘房完了後の作業としてキングデラの房づくり。

キングデラの房づくり作業の内容は、摘房した後に残された第2花房の短い方の房(肩房=副穂)の根元から2つ程度の粒(蕾の塊)を残して切り落とし、長い方の房は根元から24程度の粒(蕾の塊)を切り落とし、筒形に整えるため長い粒(蕾)を切り落とし、粒(蕾)が付いている部分の房の長さを1011cmにするというもの。



短い方の房(副穂)に鋏を入れて切り詰めるのは、主穂にジベレリン処理を施しやすいようにするためと、短い副穂が残っている房は第1回目の処理が終わり2回目待ちであることを示すため。2回目のジベレリン処理が終わると副穂は完全に切り落とす。

作業道具として、摘房と房づくり専用の鋏があり、8cm, 9cm, 10cm のところに1cm刻みで印が入っている。1つ購入した。

昼食後一休みして帰る。15時過ぎに国立着。
 
定点観測写真は1331分撮影:曇天。雨が降る直前の様子。