2011年7月28日木曜日

ぶどう園ボランティア日記15

2011/4/20(水)  15回 850分頃~17時頃 晴れ

定点観測写真:


新圃場で、朝から一日、苗木植え付け作業と植え替え作業。

午前中は植え付け作業で、スコップで穴を掘りそこへ、カベルネ・ソーヴィニヨン3本、山ソーヴィニヨン1本、メルロ3本、シラー1本、計8本を植え付けた。
              
午後は植え替え作業で、昨年春に棚栽培にする予定で植え付けた甲州種68本を順次垣根栽培に変えることとし、枝と蔓を導くワイヤーの位置が変わるのにあわせて植え替える作業。6つの穴を掘り、植え替えたところで日暮れとなった。

一日で計16個の穴を掘り、うち私は14個を掘って疲労困憊。


       

新苗はすべて植原葡萄研究所のウィルスフリー苗木で、台木はテレキ5BB、テレキ5Cなど。甲州種の台木は、101-14、テレキ5C 、テレキ5BBの3種。
テレキ5BBは日本で使われている最も主要な台木で耐乾性と早熟性に特徴があり、テレキ5Cは耐寒性が強いのが特徴、101-14はリパリアとルペストリスの交配(Riparia x Rupestris)により作られた早熟性に最大の特徴のある台木である、とのこと。
         

写真は、「カベルネ・ソービニヨン [ウィルス]フリー 5C」の苗木を植え付けたところ。
          

ぶどう園ボランティア日記14


2011/4/14(木)  14回 830分頃~17時頃 晴れ

定点観測写真:ぶどうの丘が徐々に緑に色づいて来始めた。


ぶどう畑の道路沿いに昨冬球根を植えたチューリップとムスカリが一面に咲いた。チューリップは赤と黄色、ムスカリは青紫色。色どりが素晴らしい。

              
            
           
 午前中は、新しく植え付けた苗の根元の土地が乾燥しないように、黒いビニールシートをかぶせる作業。ビニールシートを50cm四方の大きさに裁断し、中央に十文字の切れ目を入れ、70程作成。甲州畑、新圃場その他の畑の苗木に、200リットルのポリタンクから散水ポンプを使って散水。

午後のお茶の後は、アジロンダックの畑の隣にある台木育成畑で鹿除けのネット張り。ネットは漁網の中古品を転用したもの。


駅前の甚六桜1000本が満開。春到来である。
              
この桜は、中央本線のスイッチバックが廃止されてから、当時の2kmに及ぶ駅構内の線路上と折り返し線の敷地に、菱山地区の後継者の会である「甚六会」によって、1977年以来植え育てられているもので、35年を経て、桜の名所になるほど規模の大きい美しい桜並木になった。写真はスイッチバック式当時の旧駅ホーム上の桜。

          

2011年7月22日金曜日

ぶどう園ボランティア日記11 

2011/3/9(水)  11回 850分頃~1530分 快晴

定点観測写真:
 

見るからに大気が冷え、寒そうな空。案の定強風が吹き始めたため、午後のお茶の時間までで早上がりしました。

写真中央の雪を頂いた山々は南アルプスですが、その真ん中の3つの峰が白根三山です。右から(北から)北岳、間ノ岳、農取岳でいずれも3千メートル級です。写真を大きくしないと分からないかもしれませんが、雪を頂いた山々の一番右が駒ケ岳2,965mです。
南アルプスの前景の山が甲府盆地の西側の山々です。定点観測写真は、勝沼ぶどう郷駅を背にして、つまり甲府盆地の東側の山を背に西を向いて撮っています。

勝沼ぶどう郷駅を背にすると、北を向いて撮ることになるのではないかと思われるかもしれませんが、西を向いているのです。
中央線は笹子を過ぎたあたりから大きく右へ曲がり、それまで西向きに走っていたのがこんどは北を向き、半円を描き徐々に左に曲がりながら甲府盆地の北側を舐めるように走って、石和温泉あたりで再び西を向いて韮崎、小淵沢を目指して走っています。この湾曲した線路には、政治的力が働いたのではないかと思われます。

                     

ぶどう園ボランティア日記12の2

2011/4/5(火)  12回 850分頃~17時頃  快晴

(第12回のつづき)

M.T.C.[]甲州系フリー5BB」という苗木について調べてみました。
M.T.C.は、Meristem Tip Cultureの略で、先端組織培養の意です。
詳しくいうと、Meristemは分裂組織。Tipは先端。Cultureは、この場合、文化でも耕作でもなく培養を意味します。

選抜とは、最優秀で糖度の高い系統を選抜し.組織培養株をもとに育苗したという意味です。

フリー5BBとは、台木がウィルスフリーの5BBであることを意味し、5BB台木の種類の一で、ベルランディエリーBerlandieriリパリアRipariaを掛け合わせたテレキ系品種です。
ウィルスフリー苗は1980年代から普及し始めた、ぶどう栽培史上画期的な苗です。ぶどうの葉が紅く紅葉するのも、葉が巻くのも、糖度が上がらないのも(1314度にしかならない。本来は18度以上なければならない)ウィルスのせいであることが知られてそれを解決するために作出されました。

午後は、1時間半ほど午前の続きで苗木の植え付け作業。お茶の後、新圃場に、2種の白品種、ソーヴィニヨン・ブラン2本と甲斐ブラン1本を植え付け作業。新圃場は、試験圃場的性格を持ち、仕立ては垣根作りです。

植え付け作業の後、棚栽培用の錆びた鉄製ワイヤー撤去作業。17時頃まで。

勝沼ぶどう郷駅の甚六桜の蕾が膨らみました。帰り途で撮った写真です。
       
             
             

ぶどう園ボランティア日記12

3月11日14:56、東北関東地方大震災(のちに東日本大震災)発生。66年の人生において未曾有の大地震。地震と津波と原子力発電所の惨事。地震津波だけでなく、特に原発の事故は惨憺たる有様。
地震国の沿岸に原子力発電所を設置するという国策が誤りだったことが顕在化した。
原子力発電にまつわる半世紀に及ぶ隠蔽体質は一朝一夕に改まるわけもなく、世界から信用を失った。
普段7千人~8千人が働く福島第一原子力発電所だけでなく全ての原発には、巨大な各種資源がからみ、このような歴然たる事実を前にしても、脱原発で再出発するという国レベルの方針を持ち足並みを揃えることができない。嘆かわしい。

頻発する余震も続き、敢えて帰宅困難者になるわけにもいかないので、4週間以上勝沼行きを控えて状況の推移を見守っていたが、今日から再開することにしました。

2011/4/5(火)  12回 850分頃~17時頃 快晴

定点観測写真:

甲府盆地の空は、震災などなかったかのように雲一つない快晴。


午前中は、棚作りの甲州畑に新苗20本を植え付ける作業。

 
中国製の穴掘機(いったんドイツが輸入し→日本へ輸出したもの)を使い、苗ごとに1メートル程度の深さの穴を掘ります。
掘った穴に、昨年来仮植えして育てられてきた、植原葡萄研究所の「M.T.C.選[抜]甲州系フリー5BB」を植えます。苗木の幹は30cm程度、根は5070cmにも成長し、根を30cm程度に切り揃え、掘った穴の宙に浮かせたところへスコップで周囲の表土をかけ穴を満たします。そしてポリタンクから10リットル程度の水をかけ、しばらくして水が吸い込まれたら掘り出した土をかぶせてでき上がり。
               

今日植えた甲州の仕立てはやはり棚作りですが、一文字短梢となる予定です。
       

       

ぶどう園ボランティア日記10 

2011/3/2(水)  10回 850分頃~1630分 晴れ

定点観測写真: 


午前は、棚作りの巨峰畑で、東西方向のワイヤーの位置を修正するための目印を南北方向の端のワイヤーに付ける作業。午後は巨峰畑の皮むき作業。皮の中に潜んで越冬する虫を防ぐためにつるつるにむきとる、手作業でしかできない作業です。一本一本に時間がかかるので一冬の間にすべてはできません。何年かの周期で一回りします。

朝、勝沼へ向かう電車の中で、『ブドウ品種解説』(植原葡萄研究所、19948月刊)を読んでいて新しい知見を一つ得ました。甲斐ノワールは、「ノワール」といってもピノ・ノワールに由来するのではなく、同時期に作られた白ぶどうの甲斐「ブラン」(甲州とピノ・ブランの掛け合わせ)と対をなす黒ぶどうとして命名されたということです。甲斐ノワールはブラック・クイーンとカベルネ・ソーヴィニヨンの交配品種なのです。
       

ぶどう園ボランティア日記9 

2011/2/23(水)  9回 850分頃~17時過ぎ 晴れ

定点観測写真:

雲一つなく晴上がった青い空。寒気が伝わってくるよう。

午前は、発芽促進剤メリット青を専用の道具を使って昨年の新梢に塗布する作業。発芽促進剤をしみ込ませた2つのスポンジを枝に挟み、スポンジを回転させながら今年の新しい芽に液剤を塗っていく。午後前半は引き続き発芽促進剤の塗布、後半は錆びた鉄製ワイヤーを撤去しステンレスワイヤーに張り替える作業。家の裏の巨峰畑で一区切りつく17時過ぎまで作業しました。
       

ぶどう園ボランティア日記13

2011/4/7(木)  13回 850分頃~17時頃 曇り時々晴れ

定点観測写真:薄曇り

巨峰畑の棚の下には、一面に仏の座(タビラコ、三階草ともいう)の花が開き薄紫色のじゅうたんを敷いたよう。       
          

写真の薄紫色のじゅうたんの右上は同じく棚作りのキング・デラ畑ですが、そこは一面のタンポポが咲きました。どういうわけか、仏の座は巨峰畑に、タンポポはキング・デラ畑に生え、画然とした区別があります。

写真真ん中の巨峰の幹は、前回皮むきをした木です。
         
今日は、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ等各種品種の植え付けをした試験栽培的な新圃場の、錆びた鉄製ワイヤーの撤去作業と、ステンレスワイヤーの用途変更のための巻き取り作業に終始しました。

四季の移り変わりにつれ、徐々に暖かくなりヒートテックが要らなくなってきました。勝沼ぶどう郷駅の甚六桜も一気に開花して見ごろを迎え始めています。